本を片手に

主に本、映画、舞台の感想

名探偵ポワロ:クラブのキング

ポワロはヘイスティングスに誘われ、映画の撮影所を訪れる。

そこでは撮影所のボスでプロデューサーのリードバーンが、主演女優のバレリー・サンクレアを怒鳴りつけていた。

その晩、リードバーンが自宅の書斎で死体で発見される。

第一発見者はバレリーだった。

バレリーはショックのあまり、隣家のウィローズ荘へ駆け込んでいたが、彼女がリードバーンから強請られていたことが発覚し、捜査の目はバレリーに向けられる。

 

 

 

✩✩✩✩

今読んでる本にもちょうど映画の撮影所が出てくるのでちょっと嬉しい。

サンセット大通りみたいね。

 

いつも殺人者とか犯罪者には厳しい態度を取るポワロ。口調も目線、目力も普段と変わるのに、今回はちょっと違った様子。

「殺人が起きてないんだから、犯人はいない」って。

・・・いや、死んでるよね。

殺意はなかったけど、いいの?それで。

別に正当防衛でもないし。

許さないのは殺意があった上での殺人だけなのかな。

 

アートの解釈、なるほどね~。

後ろ側も表側と同時に見せてるのか。

ほぅ。

 

ポワロと旧知の王子ポールの部屋の壁紙、可愛いね。

白地に青の模様ってなんか好きだな。

ちょっとビックリしたよ。王族の部屋とか知らないけど。

 

今回は王子の部屋の壁紙と、バレリーの眉毛と髪の色の違いが超気になる回でした。

年寄り工場の秘密/コリン・ホルト・ソーヤー

シリーズ第7弾。

 

高級老人ホーム<海の上のカムデン>に長年住んでいたトッツィが、近くに新しくできた老人ホーム<黄金の日々>に引っ越した。

その3週間後、トッツィがアンジェラとキャレドニアの元に相談に訪れた。

どうやら<黄金の日々>に幽霊が出るらしく、調べて欲しいらしい。

そこで2人は、体験入居を装い潜入捜査を開始するが・・・。

 

 

✩✩✩✩ 

同じ毎日の繰り返し。これで退屈しのぎができる、と大張り切りで調査を開始する2人(笑)

(シリーズもここまで来ると、「退屈な毎日」なんかじゃないと思うけど。毎回殺人事件だし)

今回も元気にあっちこっち飛び回る。とは言ってもお年寄り。やはり年齢には勝てません。すぐに体が痛くなって無理はできないし。愚痴を言いつつも、頭と体を出来うる限りフルに使って捜査に走る(捜査なのか邪魔なのか際どいところだけど)。

この2人、ヒラメキで行動してひょんなことから警察より先に真相にたどり着くのよね。

・・・「たどり着く」というか、「突っ込んでいったら犯人の手中に入り、気づいたときにはピンチに陥ってた」だろうけど。

いつものごとく無茶はしたけど、お気に入りのマーティネス警部補に褒められてご満悦の2人でした。

 

しかし、「アンジェラが証拠品(その時点では、疑惑の品)を集めて真相に気づいたと思いきや、実は全然気づいてなかった」なんて、そりゃ犯人もビックリだわ。

 

アンジェラが<黄金の日々>から越してきたコンラッド・ストーンに好意を抱くシーンもあって。肉体はともかく、精神年齢はまだまだ老人なんかじゃない!

旺盛な好奇心と少しの恋心は、いつまでも元気に過ごす秘訣なのかもしれません。

 

【メモ】

geezer:風変わりな老人

名探偵ポワロ:砂に書かれた三角形

休暇でロードス島へ来たポワロ。

同じホテルに泊まっていたチャントリー夫妻とゴールド夫妻が、食事の席で険悪なムードになる。

その後、和解するが、チャントリーの酒を飲んだバレンタイン・チャントリーが死亡する。

容疑者としてダグラス・ゴールドが捕まるが、彼は無実を訴える。

ポワロは1人捜査を開始する。

 

 

 

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今回はミス・レモンもヘイスティングスジャップ警部も出てきません。

休暇でそれぞれの時間を楽しんでます。

島で出会った女性を相棒に事件の真相を解き明かします。

 

なかなか大きなマンションですが、ドアマンは住人全員把握しているのでしょうか。

ポワロの部屋には休暇で誰もいないことも、3人の滞在先も知っていることが驚きでした。

 

ポワロが出国審査で引っかかったのは、「何かが起こったから、ちょっとお力を・・・」と思いきやスパイ容疑をかけられたからでした。

それで足止めされたから、今回の事件の捜査をすることになったんですけどね。

 

ポワロが泊まったホテルの調度品が美しい。

フロントのカウンターや部屋のドアの緑が、目にも鮮やかで印象的でした。

 

リゾート地は映像で見てるだけでもワクワクします。

女性陣は遠出するのにもワンピースにハイヒールで大変そう。

岩山に登るのにも綺麗な格好しなきゃいけないのか・・・。

 

2組の夫婦の三角関係。

派手で美しいバレンタインと夫、バレンタインに興味を持つダグラスの三角関係かと思いきや、実は・・・。

しかし、チャントリーに惹かれる理由がよくわからん。

 

結局ポワロはどこに行っても、ただの休暇にはならないのね。

乙女の読書道/池澤春菜

声優、歌手、茶芸師でSF読みの著者が贈る、書評集。

父である作家の池澤夏樹氏との親子対談も収録。

 

初めて(テレビで)お姿を拝見したのは大学の時。その時から本が好きな人だというのは知っていて、その方の本ということで迷わず購入。

まず、表紙の本棚が素敵すぎる。まさかの私物。本の収納場所に困って買うのを悩んだり、電子書籍で買ったりしてるので、壁一面の本棚は憧れです。

 

この方の文章は軽快で読みやすい。インプットとアウトプットは全くの別物ですね。何冊読んでても、こんな風な文章は私には書けない。文章からも、幼少の頃のエピソードからも、活字中毒、本当に本が好きなんだな、ということが覗えます。

 

紹介している本は、主に翻訳もののSFとファンタジー。SF多め。

ファンタジーは好きだけど、SFは何となく苦手意識があってあまり読まないで来た。

でも、この本を読んだら「ちょっと読んでみようかな」「面白いかも」と思う本がいくつかあって、本屋に行った時にSFの棚の前で立ち止まることが増えた。

まだ増えただけで買うまでは至ってないけど・・・。

結局、私の手が伸びるのは翻訳ミステリーのようです。

図書館で借りて、一歩踏み込んでみようかな。

 

昔からマルチタスクで動いているらしい著者。仕事、ほかの趣味をこなしつつ読書。どうやったらこの読書量をこなせるのか。行きつ戻りつで読むのが遅いのよね~、私。羨ましい限りです。

 

「ジャンルを拡げてみたいけど、何から読んでいいか分からない」という方は参考にしてみては如何でしょうか?

 

最後に1つだけ。「本棚のサイズを考えて」と紹介している本があるけど、この本もなかなかです(笑)

 

 

 

 

名探偵ポワロ:4階の部屋

ポワロの住むマンション、まさに「ポワロのお膝元」で起きた事件。

 

ポワロの2階下の部屋、36Bにグラント夫人が引っ越してきた。

ポワロは風邪をひき元気がない。そんなポワロを元気づけようとヘイスティングスは推理劇に誘う。

劇場でポワロの部屋の1階下の46Bに住むパトリシアと友人たちを見かける。

パトリシアたちが劇場から戻ると、バッグに入れたはずの鍵が見つからず部屋に入れない。

仕方なくゴミ用のエレベーターで中に入るが、間違えて1階下の部屋に入ってしまう。

そこでグラント夫人の死体を発見する。

 

 

 

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イギリスだし、話的にも「4階の部屋」って、36Bのことだよね。

映像で度々出てくる部屋番号とセリフ見てるとややこしいな。

 

パトリシア、大音量の蓄音機でダンスを踊るのも、締め出されたときに夜中にも関わらず階段で大声で歌を歌うのも、ただただ迷惑でしかないと思ったけど

ポワロさんは違うのね~。

微笑ましそうに見てるし、チャーミングらしい。

ちょっとそんな風には見れなかったわ。

苦情入れても聞き入れてくれないしね。

女性だからだろうか。

紳士です。

 

前半30分で「事件の真相が分かった」って。

死体を発見してからは10分くらいだろうか。

早っ!超スピード解決。

いつの間に証拠を手に入れてたのか。

 

ポワロが風邪ひいたりすると、いつも謎の治療法が出てきますが、今回も。

洗面器にお湯を張って、頭にタオルを掛けて簡易サウナ?

あれで治るんだろうか。

ポワロの上気した顔と、いつも完璧に整えてる髪が乱れてるのが笑える。

 

やっぱり実際の事件に関わると風邪も治るのね。

探偵にとっての一番の薬は事件のようです。

クリスマスのシェフは命がけ/ジュリー・ハイジー

大統領の料理人シリーズ第2弾

 

今回はホリデイ・シーズン直前の、

一年で一番慌ただしい時期のホワイトハウス

主人公オリーはエグゼクティブ・シェフになって

初めてこの時期を迎えて大忙し。

オープニングセレモニーでは全国から送られてくる

子供たちが作ったジンジャーブレッド・マンが展示されることに。

セレモニー当日に向けて準備に追われる中、

ホワイトハウス内で爆弾騒ぎが発生。

全ての作業が中断され、遅れを取り戻さなければいけない時に

第二の爆弾騒ぎが起こり、オリーも事件に巻き込まれていく。

 

巻末は前菜レシピ集。

 

 

✩✩✩✩

皆もっとオリーに優しくすればいいのに、とたびたび思うんだけど。

毎回忙しいのに事件が起きるし、オリー結構しつこい時があるから、確かにイラつくだろうな~とは思うけど。

 

組み立て始めたら止まらなくなるマルセル。

ただでさえ忙しいのにねぇ。

まあ、夢中になってノってきたら周りが見えなくなるのも、止まらなくなるのもわかるけど。

やってる時は楽しいんだよね~。

その後気づくと、戻れなくなってたりね。

エグゼクティブ・ペイストリー・シェフだけどね。

こんな大作のジンジャー・ブレッドハウスは是非見てみたい。

 

厨房でフル回転のアグダの手際のよさが目に見えるよう。

こういう軽快なシーンは読んでて楽しい。

 

ショーンにギャビンにトム、無鉄砲だけどオリーは意外とモテるのね。

最後のシーンはちょっと寂しくなるね。

 

知らない世界、美味しい料理にサスペンス。

なかなか面白いですよ。

 

 

 

 

名探偵ポワロ:もの言えぬ証人

ヘイスティングスの友人チャールズが水上レースで記録更新に挑む。

それを見に、田舎を訪れたポワロたち。

あとは田舎でゆっくり過ごそうと思っていたポワロだが、その晩、チャールズの叔母のエミリーが階段から転落。

一命をとりとめたが、ポワロがエミリーの元を訪れると、「故意に起きた事故である」という証拠を見つける。

その後、薬が効かないと別の医者にもらった薬を飲んだエミリーが死亡。

ポワロは捜査を開始する。

 

 

 

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相棒はヘイスティングスと、フォックステリアのボブ君。

「もの言えぬ証人」はボブのことですね。

エミリーが飼ってた犬ですが、言葉を話せないから犯人も気にしなかったのね。話せなくても教えることはできるけどね。

ぬいぐるみみたいで可愛い。大活躍です。

大活躍すぎて、今回はヘイスティングスの影が薄い。というか、あまり役に立ってない。

犬連れてどこでも行けるんだな~、と感心してみたり。

 

近所に住む変わり者のトリップ姉妹、30年前に亡くなった将軍の「お告げ」をみんなに伝える人たち。

お近づきにはなりたくないな、という感じ。

降霊会で「犯人はロバート」って。

誰だよ、と思ったらボブのことなんですね。

犬だけどね。

英語圏の愛称、聞いてもすぐに分からないな~。

ロバートの愛称がボブ、アナベラの愛称はベラとか。

分かりにくい・・・。

 

最後の種明かしで、犯人にビックリ。

夫に怯えてると思ってたからな~。

夫の方も高圧的で怪しかったし。

ポワロに詰められて態度が豹変するのもそうだけど、その時の目が怖い。

きっと虐待の話も嘘なんだろうな。

 

トリップ姉妹に犬を預かるのは無理、と言われてたけど

ポワロも降霊術を使って(使えることにして)、「お告げ」を伝え2人にボブを託して一件落着。

最後のボブと別れる時のポワロの顔が、「友人との別れ」という感じがしてせつない。

 

そういえば2人組(レーサーの兄妹)が押し入ってたけど、あれ、何で押し入ったんだっけ。