本を片手に

主に本、映画、舞台の感想

グラナダ・ホームズ:ウィステリア荘

スペイン人のガルシアに招待され、ウィステリア荘に宿泊したエクルズ。しかし、一夜明けてみるとウィステリア荘はもぬけの殻になっていた。エクルズはホームズに依頼し、ウィステリア荘に戻るが、ガルシアは既に何者かに殺されていた。

 

 

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ホームズさん、(いつもの事ながら)「面白い事件がない」とかなり退屈している様子。「奇怪」の定義か~。

 

ホームズとワトソンが乗ってた自転車が今の型に近づいてきたような気がする。

 

エクルズを含め3人でウィステリア荘で調査をしていると、ベインズ警部が登場。癖のありそうな人ですね。途中「ありゃ」と思ったけど、実はそうではなく。ベインズ警部、意外と優秀な人だったんですね。何となくそんな気がしなかったんですが・・・。表情だろうか。こういう時大体へっぽこな人が多いから、今回も、と思ったんですよね。

 

近所に住んでるヘンダスン、中央アメリカの独裁者だそうで、部屋も顔も赤く照らされているのが禍々しいです。

 

幽閉されていた家庭教師を列車から助け出したあと、車内に復讐を果たそうとする二人を見つけたときのホームズの、ちょっと微笑んでいるような表情が印象的でした。

 

まあ、最終的には事件も奇怪だったし、警部も意外と?なかなかの腕前だったし、ホームズさんも満足できたんじゃないだろうか。

グラナダ・ホームズ:マスグレーブ家の儀式書

大学時代の友人で名門出身のマスグレーブに招待されたホームズ。その夜、執事のブラントンが姿を消した。執事は、マスグレーブ家に代々伝わる儀式書を夜中にこっそり見ていた。ホームズはその儀式書に何か隠されていると推理する。

 

 

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昔あった木の高さの64フィートの棒を作るのかと思ってたけど、そうだよね、そんな必要ないよね。6フィートで測って、あとは計算すればいいもんね。

フィートって言われてもイマイチピンと来ないし、「このくらい」っていうのも思いつかないけど。片足って言われてもね・・・。約30.48センチなのね。

 

ベンチに座って膝にかけていたひざ掛けをサッと羽織って歩き出す姿が、スマートで素敵。動作の一つ一つの美しさに見とれてしまいます。

 

最初は日傘を使うのが当たり前で、雨の日に傘は使わなかったけど、この頃は雨傘を使うのが普通になってたんですね。あ、既に絵にも描かれてるのか。

 

儀式書を辿って地下室に着いたはいいけど、そこでブラントが死んでいた理由も経緯も分からない。そこからブラントンの行動を推理するときのホームズの見開いた目の鋭さが印象的でした。

 

レイチェル、流石にまともな精神状態じゃいられないよな~。目に焼き付いていたんじゃないかな、きっと。

ホームズの言うとおり、確かにサセックスから遠く離れた場所に行ってたな。

 

 

【メモ】

ritual:(宗教的)儀式、儀式書

グラナダ・ホームズ:修道院屋敷

ホプキンズ警部に呼び出され、ケント州に赴くホームズとワトソン。修道院屋敷の主人、ユースタスが殺されたようだ。 夫人の証言で、犯人はこの地方一帯を荒らしているランダルによる物取りと判明。事件は解決と早々に引き上げるが、残っていたワイングラスが気になるホームズは屋敷に引き返す。

 

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早朝に起こされ、そのまま寝ようとするワトソンと、お見通しのホームズ。ホームズは面白そうな事件で、ワクワクしておる。可愛い。

 

夫人の証言は、見るからに嘘くさいです(笑)

 

この時代は電気とロウソクの両刀使いなんですね。

 

今回は暖炉によじ登ったり、川に手を突っ込んだり、アクティブな捜査が楽しいです。上等な服をビシッとキメているにも関わらず、服が汚れるのも構わずに捜査に没頭する姿を見てると、事件が何よりも優先する人なんだなと感じます。

墓標を引き上げる時のホームズの腕まくりした腕がカッコイイ。

その後、走り出した馬車に飛び乗るホームズもカッコイイです。ここは、ほぼ映ってないから想像だけども。

 

この話は他にも美しいシーンが目白押しですね。

チェスと一緒に映るホームズも、チェスの駒に指を置くホームズも、画面に映るステンドグラスの赤も、最後のワトソンとのスピード裁判のシーンも素敵です。

 

ラストのあの判断は、ホームズのような人じゃないとできないだろうな。

 

 

【メモ】

abbey:(男子または女子の)大修道院、(もと大修道院だった)大邸宅

原義は「大修道院長集団」

 

grange:農場、屋敷

granun(ラテン語穀物

グラナダ・ホームズ:もう一つの顔

平和な日常を送っていたネビルが、ある日突然姿を消した。彼の妻はロンドンの裏街まで行き、ふと見上げた窓にネビルの姿を認める。彼女は警察を呼び共に家の中を探すが、そこにネビルの姿はなく、いたのは物乞いのブーンだった。夫の捜索をホームズに依頼する。

 

 

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ワトソンが友人を探しにアヘン窟へ行くと、そこにはホームズが!別件の調査で来ていたようです。相変わらず見事な変装術。本当に別人ですね。ワトソン、よくわかったな。そこからいつもの姿に戻るシーンもワクワクします。

コカインだけでなく、アヘンまで始めたわけじゃなくてよかった(笑)

 

依頼主の屋敷を訪れ、そのまま泊まることに。

夜通し考え、ついに何かを思いついた様子。早く試したくてウズウズしながらワトソンを起こす仕草が可愛らしい。優しく声をかけ、それでも起きなくて足の裏をポンポンって。微笑ましいです。

そういえば、寝る前にワトソンがロウソクの炎を指ではさんで消してるのもツボ。

 

自分の勘違いに気づいて、留置所にでっかいスポンジ持って入るホームズの腕が白くて綺麗ですね。つい見ちゃう。

スポンジでブーンの顔を洗って、水をかけると・・・。行方が分からなくなっていたネビル。変装の名人はホームズ以外にもいたようですね。こちらも、お見事でした。

グラナダ・ホームズ:ブルース・パーティントン設計書

ホームズの元を兄のマイクロフトが訪れる。地下鉄の線路際で役人ウエストの死体が発見され、国家機密の設計書の一部を持っていた。残りの設計書を探して欲しいと頼まれたホームズは、ワトソンと共に現場を調べに行く。

 

 

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このエピソード、以前後半20分だけ見たやつだ。

 

冒頭、部屋でくつろぐ二人。面白い事件がなくて退屈なんですね・・・。相変わらず物騒なことを言ってます(笑)

何やら曲が聞こえてきて、いつものバイオリンかと思ったら鼻歌!珍しいですね~。何の曲かは分かりませんが。

 

さっそく死体が発見された現場へ。地下鉄の、ポイントが集中している場所。ホームズはそれに気づいて一人納得して嬉しそう。周りは全く分からず置き去りだけども。

 

次に向かったのは、設計書の管理をしていたサー・ジェームズ邸。書斎のドア(内側)にも本の絵が。これ、だまし絵みたいですごいな。あんなの見たらテンション上がるわ。引きこもると思う。楽しい♪

 

馬車の型がどんどん変わっていく。いくつか続けて見ると面白いですね。懐中電灯も中に火をつけて使うんですね。こういう道具を見れるのも楽しいです。

 

犯人の目星がついて違法行為を働くことを決めたホームズ。「深い霧が立ち込める中に浮かぶ建物、そこに向かっていく黒づくめの人影」という怪しげで不穏な雰囲気がワクワクします。警察ではない探偵だからこそ、ですね。

ラストは皆で牡蠣。いいなー。

銀行強盗にあって妻が縮んでしまった事件/アンドリュー・カウフマン

まず鮮やかな黄色い表紙が目に飛び込んできて、不思議なタイトルで即買いした本。

 

本文は120ページ程なのに、前後が入り混じってるのと、「これは何の比喩?」とか考えながら読んでるとなかなか進まない。でも先が気になって諦めて読み進める。

たまにグロテスクな隠喩もあるので、苦手な人もいるかも。

 

ある日、銀行強盗に魂の51%を奪われた13人の被害者。

その日以降、被害者たちの周りで奇妙な出来事が起こり始めた。

心臓が爆弾になった人、母親が分裂した人、身長が縮んだ人・・・。

 

銀行強盗が去り際に「奪われた51%を、自分で回復しなければならない。さもなければ命を落とす」的な事を言ってたけど、実際に自分で回復しようとした人が少ないと感じた。ほとんどの人が特に努力してないのでは?

あと、最後にもちらっと出てきたけど、あの銀行強盗って結局なんだったんだろうか。

 

分かったような、分からないような・・・。

分からないまま流した部分もあるので、もう一度読み直してみよう。

(わからない部分をそのまま流して読むことが多いな。それがいいのか悪いのか分からないけど。もう少し考える時間を作りたいとは思った。)

 

目の醒めるような黄色の装丁と、挿絵がイラストではなく、シルエットなのが好き。(裏表紙にもありますね)

この著者のほかの本も少し不思議な話のようなので、そちらも読んでみたくなった。

 

 

 

グラナダ・ホームズ:ソア橋のなぞ

アメリカ人の大富豪ギブスンの妻、ブラジル人のマリアが屋敷近くの橋の上で亡くなっていた。彼女は子供たちの家庭教師ミス・ダンバーからの手紙を握り締めていたため、家庭教師が逮捕された。ミス・ダンバーの無実を信じるギブスンに捜査を依頼されたホームズは、屋敷に滞在して証拠を探し始める。

 

 

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冒頭のシーン(緑、濃いピンクの花、白い花の中に佇むマリア)が美しい。光の加減も、情熱的な赤いドレスもよく似合ってます。

屋敷の内部も白い柱に赤い壁紙で、目がさめるくらい綺麗。

お屋敷とその前に広がる広大な芝生、その中を歩く白い衣装の家庭教師。

真逆の色のドレスで橋の上で対峙する二人。

どのシーンも本当に美しくてワクワクします。

 

自動車が出てきましたね。ドアが横じゃなくて、後ろの座席の真ん中部分が開いて降りれるのか~。へー。

 

ラストのワトソンの拳銃を使っての実験での二人のやり取りには、思わず笑が溢れますね。当たり前のように人の拳銃を水没させるとか。ほいっと返されたときのワトソンの表情も面白いです(笑)

まあ、最初に橋の上に行って「撃った後は持ち帰らずに川に投げ入れる」と予想した時に「調べないんだ・・・」とは思いましたが。

しかし、橋の上、というか手すりの上に立つホームズがカッコイイですね。「危ないよ~」とも思いますが、立ち姿が様になります。

 

ストーリーも面白いですが、花が咲き乱れる田舎の風景も見てて楽しいエピソードでした。