本を片手に

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貧乏お嬢さま、恐怖の館へ/リース・ボウエン

ラノク公爵令嬢のジョージアナ(ジョージー)は、英国王妃からアインスフォード公爵家の将来の跡継を教育するよう命じられる。

現公爵は若くはないのに跡継ぎを残すという義務を果たす気はなく、公爵未亡人も手を焼いていた。

称号を途絶えさせる訳にはいかないと、遠い親戚まで当たるが男性の跡継ぎはいなかった。

そんな時、オーストラリアに跡継ぎがいることが判明する。どうやら戦争で亡くなった長男の息子らしい。

しかし、跡継ぎのジャックは牧羊場で育ち、貴族としての品位もマナーも身についていなかった。

そんな彼を公爵家の人は歓迎せず、財産をよそ者に奪われると敵意を顕にする。そしてとうとう、現公爵の死体が地所内で発見される。背中にはジャックのナイフが刺さっていた。

警察は真っ先にジャックを疑うが、ジャックの人柄に触れてきたジョージーは彼が犯人とは思えずにいた・・・。

 

 

✩✩✩✩

シリーズ7作目。

時代背景がポワロと同じで調度品や街並み、服装等を映像で見てる分思い浮かべやすいので、そういうところも読んでて楽しい。一般人とはまた違うでしょうが・・・。

 

今回は犯人を追いかける、ということはなく、冷静に推理を働かせるパターン。

事件が起きるまではあまり役に立っていないと感じるジョージーですが、事件発生後は大活躍。

地元の警察にも頼りにされるほど。警察も普通に意見を聞いてくれるし。

死体見るのも慣れてきた?

探偵として少し成長してきたかな。

 

公爵未亡人の妹が交霊会を開いていますが、結構腕はいいようです。

この時代はよく交霊会が話題に上っていますが、流行っていたのでしょうか。

 

このシリーズで貴族社会や彼らのしきたりについて少し分かってきたかも。

食事のたびに着替えたり、呼びかけ方が複雑だったりと面倒そうですが(^_^;)

田舎から連れてこられて、これを全部覚えなきゃいけないジャックは大変そうです。

 

いつものメンバーも少しづつ出てきて華を添えています。

いつもと違って、うまくいかないベリンダは見ものです(笑)

クイーニーも本気を出せばできるんですね。一番できなそうな寝起きなのに。

新しい未来に向かって動き出すラストも嬉しい。

これからも楽しみなシリーズです。

 

【メモ】

・公爵:五等爵の第一位

・侯爵:五等爵の第二位。伯爵の上。

・honorable:(英)伯爵の次男以下の男子、子爵・男爵のすべての子に対する敬称。

ダーシーがこれですね。

・heir:跡取り、相続人

原義「残されたものを手に入れる人」

「h」は発音しないのね。

・grace:品位。公爵(夫人)の敬称。