シラノ・ド・ベルジュラック/ロスタン
光文社古典新訳文庫版。
ガスコン青年隊のシラノは剣豪にして詩人、優しくて強い軍人だが、ただ一つ醜くて大きな鼻がコンプレックスだった。そのため、ずっと恋心を抱いていた従妹のロクサーヌに想いを打ち明けることができずにいた。
ある日、芝居で見かけたクリスチャンに一目惚れしたロクサーヌは、シラノに協力を依頼する。
言葉の美しい人が好きなロクサーヌ。しかしクリスチャンは、見た目は美男子だが文才はなかった。そこでシラノは自分の言葉とクリスチャンの見た目の美しさ、2人でロクサーヌに想いを伝えようと申し出る。
✩✩✩✩
割台詞の文体が慣れるまでは読みにくいけど、慣れたらテンポよく読めた(たまに読み飛ばすけど)。
内容は古典だけど、今読んでも充分に面白い。
ロクサーヌ、文才のある人が好きな割に、話したこともないのに「髪が美しいから、言葉もきっと美しい」とか、ちょっとよく分からない。
言動がお嬢さまで、自分の周りに居たら振り回されて大変そう。
読んだあと、世界観に引き込まれてしばらく現実の世界に戻ってこれなかった。ここまで戻れなかったのは初めて。時代も17世紀のフランスだし、セリフ回しが粋。
心はイケメンのシラノの恋が哀しいというか、切ないラスト。最期までかっこよかったです。
これぞ純愛!という1冊。
あとがきが約80ページあることにビックリした。
注釈1つに1-2ページ割いてるものもあって、だいぶボリューミー。注釈に力を入れた感じ。後半場面ずれてるけど大丈夫だろうか(4刷ね)。
あとがきの中でネタバレしている箇所があるので、初めての方はお気をつけて(「この場面の伏線」とか普通に書いてる)。
わざわざ書かなくても自力でここに戻ってこれるのにな~。馬鹿にされてるんだろうか。