本を片手に

主に本、映画、舞台の感想

名探偵ポワロ:複数の時計

ポワロは劇場で旧友のレース大佐の息子、コリンと出会いある事件の話を聞かされる。同僚であり恋人のフィオナがスパイを尾行中にスパイもろとも車に撥ねられ死亡。彼女が死の直前に残したメモからクレセント通りにいたところ、ある家から女性(シーラ)が怯えながら出てきた。中に入ってみると、ソファの影から男性の死体が発見された。

 

 

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コリンが賭け事に夢中で同僚からの仕事の電話を後回しにした結果、恋人を失うところからスタート。アホなのか、こいつ。

その後出会った第一発見者のシーラとすぐに恋仲になるし、法廷でも仲良さそうにして何かと庇ってるしMI6、大丈夫なのか?

 

スパイ事件から始まるからメインの事件がこれかと思いきや、その後のシーラの事件がメインなんですね。どっちか1つでいいような気もするけど。

 

冒頭でポワロが観に行ってる劇はオリヴァ夫人の作品なんですね。彼女のプロットは単純なようです。「結末は見えている」って(笑)

この劇の中に事件のヒントが。劇のことなんてすっかり忘れてたわ。

 

警察の捜査にボードを使って手がかりを貼っていく方法が使われ始めたんですね~。

しかし事件に関する情報を警察に伝えようとしている人の話を「後でね」とか言って軽く受け流すのはどうなんだ。それも何度も。

事件の関係者が、法廷からの帰りに「彼女は嘘をついてる」って重要な話な気がするけど。まあ、本人に聞かれたらマズイ話ではあるけど。

そんなことやってるから、伝える前に殺されちゃったじゃないか。

その後も尾行中に顔見合わせて笑ってる間に容疑者見失ってるし・・・。

警察のダメっぷりがすごい。

 

死体が発見されたペブマーシュ宅のご近所さんのブランド夫人、どこかで見たと思ったら「牧師探偵シドニー・チェンバース」のマグワイア夫人ですね。あちらではいつもしかめっ面してるから、笑顔が新鮮でした。

 

ノラ・ブレント(シニード・キーナン)は、見ていてウェディング・シンガーのホリーを思い出した。何となく。

 

スパイ事件とシーラの事件は全く関係ない、別の事件よね。

ってことは、目が見えないからと思って死体を置いた家が、たまたまスパイ事件の関係者の家だったってこと?

複数の時計もそんなに関係ないし。(あ、トリックを借用した小説のタイトルか。)

第二次大戦前の世相も反映されてて、ゴチャゴチャし過ぎてる感じ。

 

睡眠薬で眠らされていても、刺されたら悲鳴って上げるのね。とか、密談ならもっと人目につかないところでやればいいのに。とか、庭にそのまま証拠を残すとか(子供が拾ってきたよ)、勝手に相続ってできるんだな、とか突っ込みどころの多いお話。

 

ラストの謎解きではブランド夫人が一人で全部喋ってくれるから、ポワロの出番なかったですね。アシスト程度になってて残念。

 

ラストシーンの海辺が美しかった。