本を片手に

主に本、映画、舞台の感想

なりたい/畠中恵

年に一度戻ってくる場所。

今年もこの季節になりました。

 

離れで相変わらず寝込んでいる長崎屋の跡取り一太郎

近所で一太郎と年の近い子が亡くなったとあって、父・藤兵衛は兄やである手代たちに寄進を忘れないようにと言いつける。

一番に考えるのは一太郎のことである兄やは、一太郎の体を考え、何と神様たちを離れへ呼びつける。

神様たちは怒らず、出された料理や酒を楽しんでいたが、一太郎の悩みを聞くと一つ問いかける。

ー「生まれ変わったら何になりたいのか」

答えが神たちの気に入ったらその未来を叶えてくれる、しかしそうでなければ・・・。

 

 

✩✩✩✩

一つのテーマで綴られる5編。

妖しになりたい男、親になりたい人・・・。

いろんな人の「なりたい」。

最後に一太郎が出した答えにも納得。

外伝「えどさがし」に繋がる話でもあって、ますます楽しくなってくる。

 

妖したちが集まって飲んだり食べたり、賑やかに過ごしているこの空間が大好き。

ゆったり居心地のいい場所で、なんとも羨ましい。

この先もまだまだ一緒にいて欲しいな。

 

 

【メモ】

・大福帳:商家で売買勘定の元帳。

「大帳」に福運を願って「福」をつけたもの。

大福餅は関係ないらしい(笑)

 

・不調法:

1.行き届かず、手際の悪いこと

2.不始末

3.酒や芸事の嗜みがないこと