本を片手に

主に本、映画、舞台の感想

名探偵ポワロ:ベールをかけた女

宝石強盗犯に一杯くわされたジャップ警部とは対照的に、事件がなくて暇なポワロ。そこにベールをかけた女性(レディ・ミリセント)から、昔の恋文のネタにラビントンという男に脅迫されていると相談を受ける。公爵と婚約中だそうで。ポワロとヘイスティングスはラビントンを呼び交渉をするが、決裂。彼の留守中に自宅に忍び込み、手紙を取り返すことに。

 

 

 

✩✩✩✩

今回はポワロの鍵屋の変装が見れます。

カジュアルな服装で、いつものヒゲも雑に下ろしてる(?)。もう、ただのおっさんになってる。変わりっぷりがすごい。黒ずくめの服で、ヘイスティングスとともに家宅侵入。しかもノリノリで。

かなりぶっ飛んだお話になってます。

 

手紙を見つけるが、家政婦が警察に通報。見つかった瞬間、ヘイスティングスは自分だけ早々に逃走!

家政婦を騙してると思いきや、家政婦に嘘つかれてて逮捕されるポワロ。

 

逮捕されたポワロをからかうジャップ警部、「狂犬と呼ばれている」とか言っちゃって楽しそう(笑)

ポワロのこんな姿が見れるなんて、さぞかし楽しいだろうな。

 

ポワロが逮捕されている間、ヘイスティングスが一晩かけても開けられなかったからくり箱をあっさり開けるポワロ。ここは流石です。

 

後半は自然史博物館での追いかけっこ。

ボケっと突っ立てないで早く追いかけろよ、とか

箱から出てきた宝石、冒頭のアーケードで盗まれた宝石と違ってない?とか気になった今回。警察も探偵もなかなか間抜けな回でした。

ヒア・カムズ・ザ・サン/小路幸也

東京バンドワゴンシリーズも10作目。

毎年恒例、春の風物詩となっております。

 

サチさんの季節感たっぷりの挨拶、家族の紹介、朝の食事風景、サチと紺の会話で1話の締め、などの「お約束」の場面を見ると、この世界に帰ってきたな~と思う。

朝の食事風景では、勘一の調味料の組み合わせを密かに楽しみにしています。

 

季節ごとに1話ずつ、前回の季節の続きからなので、各巻の最初の季節が異なります。

子供たちの成長とともに、登場人物も増えて益々賑やか。

 

今回は研人の高校受験に重点が置かれていて、あの小さかった研人がね~、と親戚感覚で見ています(笑)

花陽の啖呵もお見事でした。

出会いもあれば別れもある。堀田家の家族にも変化があります。

 

毎回持ち込まれる謎の部分が薄くなっている気はしますが・・・。仕方ないですかね。

それでも、やっぱり面白いんですよね。居心地がいい。

この世界に混ざりたくなるのは、こんな距離感での人との関わりが無いからでしょうか。羨ましいんですよね。

 

登場人物が多い分、番外編として書きたい事がまだまだあるようで、まだしばらく堀田家のみんなの成長を見れそう。

文庫で読んでるので、まだ2冊は楽しめるのが嬉しい(´▽`)

ビートルズの曲名からとっているタイトルも楽しみです。

 

紺と研人に、かんなちゃんを加えてサチさんとの関わりがどうなっていくのかも楽しみです。

いま、一番楽しみにしているのはココかもしれない。

 

 

猫は殺人事件がお好き/サム・ガッソン

元私立探偵の父親に憧れ、いつか探偵になることを夢見ている11歳の少年ブルーノ。愛猫ミルドレッドを溺愛しており、お手製の名刺と猫柄のニットがトレードマーク。いつも事件はないかと目を光らせている。ある日、向かいに住む友人の母親が殺されていた。ミルドレッドも姿を消し、死体の近くには猫の血染めの足跡がついていた・・・。

 

 

✩✩✩✩

主人公が少年ということで、勝手に軽めの内容だと思っていたら、殺人、レイプ、DV、窃盗、麻薬・・・と重いテーマで書かれていてビックリした。

 

ただ、ブルーノの性格があまり好きになれない。

何の権限も持たないのに生意気で、読んでてイライラする。

あれじゃ警部に睨まれても仕方ない。

好みが分かれるところかもしれません。

 

あらすじ読んで面白そうだと思ったのに残念。

 

 

 

名探偵ポワロ:夢

パイ工場の社長のベネディクト・ファーリーからポワロに手紙が届く。

彼を訪ねると、毎晩拳銃自殺をする夢を見るという相談を受ける。

既に医者には相談済みだが、ポワロの意見を聞きたいと言われる。

翌日、ファーリー氏が夢と同じ形で死んでいるのが発見される。

 

 

✩✩✩✩

あの犯行方法は可能なんだろうか。

血痕拭くの大変そうだけど。窓枠とか絶対見落としそう。

下の通路とかにも残りそうだし。

後頭部打ちそうだしね。それじゃ自殺には見せかけられないしな~。

細かいこと考えちゃダメなのかもしれない。

 

今回は登場人物が面白いことになってる。

ポワロの若い頃の道楽とか、働いてくれない脳細胞へのもてなしとか。

ミス・レモンのちょっとした発言で何かを思いついたポワロが、お礼を込めてキス(部屋を出るときには投げキスまで!)するし。

 

ミス・レモンが「ずっと前から欲しいと言ってるのに、ポワロは買ってくれない!」と怒りを顕にしているのも珍しい。

タイプライターが詰まるたびに、悪態ついてるし。

 

ラストでポワロがやっと買ってきたものは、彼女が欲しかったのとは全然違うもので・・・(・・;)

ミス・レモンの硬直した顔が面白い。

箱の高さ的にもタイプライターじゃないとは思ったけど。

事件以外だと全然ダメなポワロでした。

癒し屋キリコの約束/森沢明夫

数年前に昼ドラでやってたので、買った本。

タイトルからほんわかした作品かと思いきや、全然そんなことはなく・・・。

 

商店街の一角にひっそりと佇む純喫茶「昭和堂」。オーナーの霧子が淹れるコーヒーはとてもマズイらしい。店は雇われ店長の柿崎照美(カッキー)にすべて任せ、キリコは仕事もせず昭和歌謡を流し、ロッキングチェアに座りビールを飲みつつ読書。

この店、ほかの喫茶店とは違いなぜか神棚と賽銭箱が置いてある。

実は喫茶店とは別に、「癒し屋」という裏稼業をしていて、依頼人の悩みを奇想天外なやり方で解消しているのだった。その報酬として依頼人から賽銭をたんまり奉納させている。

なぜ、そんなことをしているのか・・・。

 

 

 ✩✩✩✩

各章の冒頭に、話の内容に関連する歌謡曲の一節が載っているのも面白いです。

 

キリコさんのやり方が無茶苦茶で破天荒。依頼した人も、キリコとともに「癒し屋」として働く常連も、この先どうなるのか分からないまま、命令通りに動いてる。

それでも、蓋を開けてみれば落ち着くところに落ち着いて、「癒されて」いきます。

そんな常連さん、カッキー、キリコにも悲しい過去があったようで。

 

いつも呑んだくれていて気だるげ。言動を見てると、「この人に任せて大丈夫なんだろうか・・・」と思うけど、書き留めておきたい言葉がいっぱい出てくる。

その中の1つが、

 

「人間ってさ、チャレンジしたけど失敗した夢となら、案外すんなり同居できるのよ。でも、チャレンジしないままの宙ぶらりんな夢って、胸の中で腐って悪臭を放つから捨てたくなるんだけど、でも、そんな夢に限ってなかなか離れてくれないものなのよね」

 

本当にそう思う。

私も数年前に始めたことがありますが、実は思いついてから実際に始めるまで5年くらい経ってました。その間ずっと、頭の片隅にこびりついて離れないんですよね。時間もどんどん過ぎていくし。

やりたいことがあるなら、やっちゃえばいいんだと思います。

どっちにしろ後悔することは出てくるだろうし。

 

今は思いついたときに、大きいことから小さいことまで手帳に書いています。

(「新しくできたお店に入ってみる」とか、「歯医者に行く」とかも)

そんな本をこの間も読んだような・・・。

エリザベス・ペローナの「Murder on the bucket list」でした。

書いてると整理できていい。ワクワクするし、やる気も出てくるし。

 

本を読むと、読みたい本が更に増えますね。 

カッキーが美味しいコーヒーの淹れ方を教わった喫茶店が出てくる本、「虹の岬の喫茶店」も読んでみよう。

 

 

 

名探偵ポワロ:二重の手がかり

「二重の罪」というタイトルの話もあって紛らわしいですね。

 

イギリス各地の貴族の館で起きている連続宝石強盗事件。ジャップ警部はその事件の糸口が掴めず、クビが危ういらしい。次の事件が起きるまで待つしかないというポワロ。その言葉通り、第4の事件が発生し、ネックレスが盗まれる。

 

 

 

✩✩✩✩

今回は調査途中に出会ったロサコフ伯爵夫人にポワロが夢中になり、ヘイスティングスとミス・レモンが調査に乗り出す・・・。

なに、この展開。今回は事件よりも伯爵夫人とポワロの恋がメインのようです。

 

事件現場に残っていたのは、男性用の白い手袋とシガレットケース。二重の手がかりですね。

その内、手袋はわざと置いたもの、シガレットケースは犯人が慌てていて落としたもの。

小ぶりの金庫の中に白い手袋。忘れるかな・・・。目の前にあるし、閉めるときに必ず目に入るだろうしなー。あれで置き忘れたように見せかけるとか、ちょっと無理っぽい。暗闇でも目立つだろうし、すぐバレそう。ソファの脚元に置いた方がまだいいような気がする。

 

ポワロは捜査そっちのけでピクニックしたり、ロシア語の勉強をしたり、自分は手を出せないからと探偵事務所を訪ねて仕事を依頼したり。

ん、どういうこと?

 

現場に戻ったヘイスティングスとミス・レモン。

するとヘイスティングスが庭で浮浪者に撃たれる(°д°)

でも擦り傷ですみました。

ビックリしたー。

この浮浪者が依頼した探偵なのか。銃も空砲だったのね。なるほど~。

 

シガレットケースは伯爵夫人のもので、イニシャルはロシア語。

それで勉強してたのね。キリル文字だっけ。

そういえば同じ文字があるけど、発音は全然違うね。

 

ピクニックで宝石だけ返してもらって、「犯人は捕まらないでしょう」と言ったのは、あなたを捕まえる気がないということでしょうね。

・・・何で盗んだ品を持ち歩いてたんですかね、あの人。

 

「外国からの亡命者」という共通点がありつつも、正反対の仕事をしている2人。ここでお別れです。

犯人を逃がすのはどうなのかな~と思いつつも

ジャップ警部のクビが繋がったから、まあいいか。

名探偵ポワロ:クラブのキング

ポワロはヘイスティングスに誘われ、映画の撮影所を訪れる。

そこでは撮影所のボスでプロデューサーのリードバーンが、主演女優のバレリー・サンクレアを怒鳴りつけていた。

その晩、リードバーンが自宅の書斎で死体で発見される。

第一発見者はバレリーだった。

バレリーはショックのあまり、隣家のウィローズ荘へ駆け込んでいたが、彼女がリードバーンから強請られていたことが発覚し、捜査の目はバレリーに向けられる。

 

 

 

✩✩✩✩

今読んでる本にもちょうど映画の撮影所が出てくるのでちょっと嬉しい。

サンセット大通りみたいね。

 

いつも殺人者とか犯罪者には厳しい態度を取るポワロ。口調も目線、目力も普段と変わるのに、今回はちょっと違った様子。

「殺人が起きてないんだから、犯人はいない」って。

・・・いや、死んでるよね。

殺意はなかったけど、いいの?それで。

別に正当防衛でもないし。

許さないのは殺意があった上での殺人だけなのかな。

 

アートの解釈、なるほどね~。

後ろ側も表側と同時に見せてるのか。

ほぅ。

 

ポワロと旧知の王子ポールの部屋の壁紙、可愛いね。

白地に青の模様ってなんか好きだな。

ちょっとビックリしたよ。王族の部屋とか知らないけど。

 

今回は王子の部屋の壁紙と、バレリーの眉毛と髪の色の違いが超気になる回でした。