本を片手に

主に本、映画、舞台の感想

名探偵ポワロ:ヘラクレスの難行

凶悪犯マラスコーを捕獲するため、警察がある邸宅のパーティでおとり捜査が仕掛けるが、令嬢がポワロの目の前で無残にも殺され、宝石も奪われてしまう。彼女の身の安全を保証していたポワロは、自責の念にかられ仕事ができない。ある青年の恋人を探すためアルプス山中のホテルを訪れるポワロ。そこに、マラスコーがいるとの情報が入ってくるが、下界とをつなぐケーブルカーが雪崩で埋まってしまい孤立する。

 

 

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ホテルのテラスから見えるアルプスの山と青い空は絶景ですね。美しかったです。ホテルも装飾が美しいホテルでした。特に壁と部屋のドアが。ずっと眺めてられる。

ホテルのフロント係の「施設をご利用ください。サウナとか」の言葉に断固として拒否するポワロさんには、ちょっと笑ってしまいました。

ラストに向けて重い雰囲気で進んでいきますが、こういうシーンを見ると安心します。最後の若い恋人たちの再会シーンもね。

 

クレイトン嬢役の人、シドニー・チェンバースのアマンダ(モーヴェン・クリスティ)だ~。母娘じゃなくて姉妹だったのか。

今回のロサコフ伯爵夫人は「二重の手がかり」で演じた方とは別の方。だけど、女性陣はみんな存在感がありますね。

 

みんな悪人顔だな~と思ってたら、あっちもこっちも本当にみんな犯罪者。

ロサコフ伯爵夫人の娘、アリス・カニンガムは言葉で相手の心を抉る手段を心得てる人。犯罪心理を研究しているとあって、ポワロのことも揺さぶってきます。いつもは自信家なポワロも苦悶の表情。

 

「娘を見逃して欲しい」とのロサコフ伯爵夫人の願いを聞き入れず、アリスを警察に引き渡すポワロ。伯爵夫人はまだ足を洗ってはいなかったけど、窃盗と殺人は違うからね、許容できない。自分の信念を貫き、かつて愛した人と決別。この辺が最終話のポワロの決断に向けての伏線でしょうね。