本を片手に

主に本、映画、舞台の感想

グラナダ・ホームズ:ショスコム荘

名馬ショスコム・プリンスのオーナー、サー・ロバートの周辺では、レースを前に不審な出来事が続いていた。借金の返済を迫っていたブルーワーの失踪、姉とは絶縁状態、炉の中からは人骨が出てきた。そのため、調教師がホームズの元へ相談に訪れる。

 

✩✩✩✩

ワトソン、軍人年金の半分を競馬に使ってるのかΣ(´∀`;)

 

調査に向かった先でワトソンに馬車を止めさせて、「ひき殺されるところだった」と怒るワトソンに「実験は大成功だった」と意に介さないホームズ。

ちょっとは気にしようよ(笑)

 

屋敷に向かい、調教師に話を聞く。「鍵をお貸し頂けないですか」「何のためです?」「入るためです」って・・・。

そりゃそうだ。ここのやり取り、好きです(*´ω`*)

 

ワトソンが執事を引きつけている間にホームズは地下室や屋敷の調査。

捜査とはいえ、レディ・ベアトリスの寝室に入って、化粧品やブラシや天蓋の匂いを嗅いで回ったり、ちょっとストーカーっぽい。

必要なことなんだろうけど。

ところで顕微鏡は持って行ったんだろうか。借りたのかな。

 

事件も解決し、新聞記事にはプリンス号の優勝のニュースが。

ワトソンは20ギニー勝ったんですね。

まさかのハドソンさんまで(笑)

お祝いにシャンパンを持ってきてくれました。

これにはホームズも呆れ顔。

仲がよさそうで見ていても楽しいです(´▽`)

 

欲望という名の電車/テネシー・ウィリアムズ

欲望という名の電車に乗って降り立ったのは、ニューオーリンズのフレンチ・クオーター。没落した大農園の娘ブランチがここに来たのは、結婚した妹ステラの元に身を寄せるためだった。

妹夫婦と生活していく中でだんだんブランチの嘘が暴かれ、やがて精神に異常をきたす。

 

✩✩✩✩

当時のアメリカの生活の生々しさとか息遣いは感じたけど、出てくる人たちが何かことごとく不愉快だった。

すぐ手が出たり、仲間を連れてきて真夜中までカードゲームに興じるのも、言動も。

 

ブランチの言動はわかるんだけどね。

過去に辛い体験があって、家も財産も失って、職も追われて。

現実だけ見てたら自分で立っていられないんだろうな、とは思う。

現実と幻想が入り混じるブランチが壊れていく様が印象的だった。

 

妹のステラは姉と違って適応力があるのかな。

裕福な生活でなくても、相手が物に当り散らす人でも環境に合わせて変えていける人。

でも、二つの世界の架け橋になることはできなかった。

ステラも彼女の周りにいる人たちも、誰もブランチを救えなかった。

 

救いはない。でもラストが気になって読み進める。

私はブランチ寄りで読んでたな。

 

戯曲なんだよね、これ。

映画にもなってるみたいだし、見てみたいと思って

とりあえず映画を探すつもりで検索したら出てきた。

舞台が。

来月、12月にシアターコクーンでやるらしい。

www.bunkamura.co.jp

ということで、ポチっと購入。

ブランチの狂気を生で体感できる。

楽しみです(^o^)

 

 

セブンティーン・アゲイン

上手くいかないことを妻のせいにして離婚を申し立てられ、子供たちも口をきいてくれないし、昇進も逃す。

そんな何もかも上手くいかない37歳のおじさんが、ある日17歳の自分に戻って人生をやり直そうとする話。

自分が17歳の時に戻るんじゃなく、中身も時代も今のままで体だけ17歳に戻るのね。

 


時代が違って服装とか話す内容とかが高校生と合わなくて笑われるけど、子供の話をしてる時とかは親の顔してた。

高校生として戻って学校の内部に入ってみて、初めて自分の子供の抱えている問題が見えてきて助けようとするところも親に見えた。

 

オタクとか関係なく、分け隔てなく接する人はカッコイイな。

今もネッドと友達なのもいい。

 

ラスト、過去と現在がシンクロしていくのもよかった。

しかし、コーチは全く気がつかないものなんだろうか。

見ながらヒヤヒヤしてたよ。

 

思いのほか感動的な映画でした。

あずかりやさん/大山淳子

本屋に行ったら話題書のコーナーに陳列されていて、ジャケ買い

でも、私が手にしたのは本来の表紙ではなく、ある本屋さんが多くの人に読んでもらいたいという思いから作ったカバーだったんですね。

 

語り手が幽霊の話は読んだことがあるけど(「東京バンドワゴン」シリーズ)、これは店にある物が語り手という斬新なスタイル。ちょっとビックリしたけど、面白かった。

暖簾や自転車、猫の視点からだったり、過去に来た客が再訪した視点からだったりで、商店街にある「あずかりやさん」での出来事を語っていく。

 

商店街にある、1日100円でなんでも預かってくれる「あずかりやさん」。

ここの店主は幼い頃から目が見えない。必要なことだけ聞いて、それ以上は詮索してこない。どんなものを預けても。

 

ここに預けたら、少し心が軽くなるような気がする。

少し切なくて、だけどふんわり優しい短編集でした。

私だったら何を預けるかな。

 

 

グラナダ・ホームズ:三破風館

ホームズが黒人のプロボクサー、ディクシーに襲われ、「ハーロウに近づくな」と警告される。そんな中、一人の老婦人が家を買いたいと言われるが、不審な点があるため調べて欲しいとの依頼が舞い込む。ホームズは、最近亡くなった老婦人の孫が関連していると考え調べ始める。 

 

 

✩✩✩✩

ディクシーは頼まれただけで、それ以外のことは何も知らないと言う。

 

情報屋に事件の黒幕の情報をもらいに行くホームズ。

相変わらず人物を見て推理してるけど、飼い犬の犬種を当てた理由が「犬に飼い主の顔が似るから」って、それだけで犬種まで分かるとは。

短時間でそこまで見てるのか。すごい人です。

ここの映像、推理するホームズたちと、公園にいる推理の対象が重なっているのが面白いシーンです。

 

ホームズの部屋の天井や壁に差し込む虹色の光が鮮やかで綺麗~。

 

自叙伝、あんな吹きっさらしの場所で書いてて大丈夫なんだろうか。

まあ、大丈夫だったから残ってるんだけど。よく書けたな。

 

この事件の黒幕はイザドラ。上昇志向の強い、冷酷な女性。

美しい人が冷血な役をやってると余計にゾッとするのは何故でしょうかね。

女性の魅力をフルに使ってきますが、もちろんホームズには効かず。

きっちりワトソンと依頼者の敵を討ちます。心配無用ですね。

 

名も無き家の女性が富と地位を手に入れる話で、アガサ・レーズンを思い出した。

アガサと違い、こちらは犯罪な上に一歩手前で潰えたけど。

 

 

【メモ】

gable:破風

古ノルド語で「切妻」の意。

 

「破風」なんて未だかつて発したこともないわ(笑)

建築用語、難しい・・・。

アダムス・ファミリー

先日、舞台「アダムス・ファミリー」を見てきて、そういえば映画版を見ていないことに気づいたので見てみた。

 

ブラックユーモアが散りばめられていて面白かった~。

舞台でも思ったけど、コメディ色が強めですね。

 

一番のお気に入りキャラはハンド。

名前の通り手首から先だけのキャラクターだけど、優しかったり焦っていたり、ダイレクトに感情が伝わってくる。

冒頭から釘付けでした。

 

ゴメス。

妻モーティシアをこよなく愛するアダムス家の家長。

作品の中でも大黒柱でした。

「俺がその愚か者を演じる」って言い切った時はカッコよかったよ。

 

モーティシア。

妖艶な美しさと不気味さが共存してるのが役にハマってた。

 

花を切って茎だけを飾ったり、喜ぶポイントが普通とは逆だけど、子供達や家族のことを想っているのは他の人達と何も変わらないなと思った。

子供に向ける眼差しが優しくて、意外と「普通」の両親でした。

 

ウェンズデー。

アダムス家の娘。無表情ながら鋭い一言を発するのがツボでした。

 

パグズリー。

アダムス家の息子。大人しそうな顔してるけど、ウェンズデーとの遊びが残酷。

 

フェスター。

ビジュアルが大柄なパンダのよう。でも動きが可愛らしい。

アダムス家の人達と少しづつ打ち解けていく様が印象的でよかった。

 

ラニー。

グランマ。ビジュアルも読んでる本も魔女のよう。

料理は美味しそうに見えないけど。

 

ラーチ。

アダムス家の執事。メイクをするとフランケンシュタインのよう。

そりゃ、家を訪ねてこんな人が出てきたら逃げるわな(笑)

声を発しない役も大変なんだろうな。

 

カズン・イット。

このキャラ、ビジュアルも含めて超気になる。

 

映画は見たことなかったけど、オープニング曲は知ってるってすごいな~。

シスター 10/26

朗読劇「シスター」。ゆみこ(彩吹)さん目当てで行ったけど、一回だけじゃ全然足りない。もう一回聞きたい話だったので行ってきました。

渡辺えりさんと池田成志さんの組み合わせ。

 

当然だけど、朗読する人が変わると全然違う。

話し方も、テンポも、音楽明けのセリフのタイミングも。

同じ話を別の人の組み合わせで聞くのも面白いですね。

 

前回は話を追うので精一杯だったけど、今回は聞き逃していたセリフも捕獲。

 

渡辺さんの「姉」は、弟の方を向いたり、前のめりになったりアクションが大きい。

どちらかというと、落ち着きがない(笑)

豪快で熱い、お母さんのようでした。

水も並々と注いでて、なんていうか・・・雑。

セリフもちょっと食い気味。そして何より声の圧がすごかった。

 

成志さんの弟は冷静で頭の良さを感じる「弟」でした。

演者の見た目に影響されてるのかもしれないけど、橋本さんの「弟」より大人に感じた。

 

ラストの姉のセリフ。

渡辺さんの「もちろん」が静かで、でもはっきりと言い切っていて、じんわり響く、でも少し寂しさを感じる言い方で。

「もう会えないかもな」っていう比重が大きい感じでした。

 

ゆみこさんは「あったりまえじゃん!」みたいな言い方で、安心して前を向けるような言い方。

会えないかもしれないけど、それよりも前に進む力を与えてくれるような気がした。

 

 

そういえば、前回この本読みたいって書いたけど、演出の鈴木勝秀さんのサイトに元々の作品「シスターズ」の脚本が載ってるのね。

ブログ情報 - suzukatz-cloud

よかった(´▽`)

 

また別の組み合わせで聞きたいな~。