本を片手に

主に本、映画、舞台の感想

氷の女王が死んだ/コリン・ホルト・ソーヤー

シリーズ2作目(シリーズ名がよく分からないが)。

 

<海の上のカムデン>に新しく入居してきたエイミー・キンゼス。

彼女は誰彼かまわず当たり散らし、罵倒し、利己的で、人の話に耳を貸そうとしない嫌な奴。あっという間にみんなの嫌われ者になった。

そんな彼女が、体操用の棍棒で撲殺されていた。

大好きな警部補に直々に頼まれ、アンジェラとキャレドニアは大喜びで聞き込みを開始する。

 

 

✩✩✩✩

前回から数ヶ月しか経ってないのね。

事件起きすぎな老人ホームだな。

まあ、そうでないと話が始まらないんだけど。

 

今回はアンジェラが地下の倉庫に閉じ込められたり、インフルエンザに罹ったり、調査の合間にグローガンさんをアルコール依存性から救おうとしたり、大忙しの2人。

高級老人ホームでも、あまり使われていない場所はじっとりカビ臭かったりするのね。

アンジェラたちがあっちこっち動き回ってくれるから、ホームの裏側も見れて面白い。

 「そこまでやらんでも・・・」と思うことも多いけど。

 

アンジェラとキャレドニア2人の掛け合いが大好きで、読んでてニヤニヤする。

歳を重ねたからこその知識と経験から来る言葉は読んでて面白い。

若い人よりも死が身近な存在だからこそ、今を最大限に楽しみたいんだろうな。

 

美味しい料理、手入れされた庭、個性溢れる気の合う仲間たち、少しの冒険。

それらが全部揃ってて、何度でも訪れたくなる場所です。

 

【今回のツボ】

・キャルの雄叫び。

・警部補に止められたのに、2人共こっそり聞き込みをしてたこと。

ひとりぐらしも神レベル/カマタミワ

大好きなカマタミワさんのひとりぐらし本、第二弾。

一人暮らしをもっと楽しむために著者がやっていること、挑戦してみたことの結果が今回の内容。

 

相変わらず面白かった。

外で読むと危険なレベルで面白かった!

絵も言葉の選び方も大好き。

 

私も料理盛り付けるとき「食べるの自分だから別にいいか」とか思ってるな。

実家帰ると母が並べ方考えて盛り付けてるのに。

見習わなければ・・・

 

ひとり遊びの自分企画、面白そう。

高学年~中学くらいの時はマンガに出てきたレシピでいろいろ作ってたな~。

紅茶プリンとか、りんごのスコーンとか、アイリッシュブレッドとか。

わかったさんシリーズとか、こまったさんシリーズもよく読んでたし。

今もレシピ付きの小説とか持ってるし。作ってみよう。

 

あと、昔住んでた街を散策してみたくなった。

ストリートビューで見てみたら、駅が変わってるし、駅前の歩道の幅も広くなってるし、しばらく間あけて戻ったらいろいろ変わってて楽しそう。

 

読んでたら色々やりたいことが出てきたので、思いついたときに手帳に書いて叶ったらチェックを入れるようにしています。

小さくても楽しみなことがあるっていいな。

 

フリマで欲しいものを手に入れるコツ等の知恵袋も載ってます。

 

 

老人たちの生活と推理/コリン・ホルト・ソーヤー

高級老人ホーム<海の上のカムデン>から砂浜に降りる階段の下で、元図書館司書のスイーティーの死体が発見された。

彼女は<カムデン>の入居者の中で最もおとなしく、人畜無害な人だった。

彼女はなぜ死んだのか。

警察は役に立たないと判断した仲良し4人組みは自分たちの好奇心を満たすため、独自に調査を始めることに。

 

 

✩✩✩✩

舞台は高級老人ホームということで、登場人物もほとんどがお年寄り。

 

探偵役も70代の未亡人たち。

アンジェラ:故提督夫人、辛辣な発言で友達が少ない小柄な老婦人。

キャレドニア:故提督夫人、アンジェラとは対照的で、体は縦横に大きく、おおらかな心を持つ老婦人。

ナンシー(ナン):元女優。歯科医の夫は終身介護を受けている。陽気な老婦人。

ステラ:故銀行家夫人、無口で上品な雰囲気を持つ老婦人。

 

毎日同じことの繰り返しで、退屈な日々に突然起こった事件。

調べてみると、誰もが物静かだと思っていた被害者が実は影でみんなを馬鹿にしていたらしい。

 

人の忠告も聞かず、勝手に被害者の部屋に入って本棚やら引き出しの中を探り、マーティネス警部補も部下のスワンソンも振り回されてばかり。

かなり活動的なおばあちゃんたちで、あっちこっち調べまわり、読んでるこっちはハラハラ。

彼女たち、私よりもフットワークが軽いな。

実際に身近にいたらちょっと・・・と思うけど。

素敵なおばあちゃんたち。

こんなふうに歳を重ねても好奇心を持って、心も体も元気に生きていけたら愉しいだろうな。

 

軽めのミステリーです。

名探偵ポワロ:エジプト墳墓のなぞ

王家の谷でエジプトの遺跡を発掘する探検隊。

封印が解かれ、中に入った直後、

考古学者のウィラード卿が心臓発作で死亡。

メンハーラの呪いという迷信から

ウィラード夫人はポワロに連絡を取る。

その後、関係者が次々に死亡。

夫人の依頼を受けてカイロに飛ぶ

ポワロとヘイスティングス

だが、またもや新たな犠牲者が。

 

 

 

✩✩✩✩

冒頭から何となく不気味な雰囲気が漂う。

顎が砕けるってなに、怖い。

聞いただけでゾッとするわ。

 

今回、人死にすぎですね。

ウィラード卿も何かあると思ったけど、

本当に自然死だったのね。

それで呪いの噂が立ったから

呪いのせいにして殺した。

呪いにするなら1人じゃダメだから

3人殺した、と。

 

ゴチャゴチャしてきたのでまとめ。

ウィラード卿:自然死

ブライブナー(資金援助者):敗血症に感染させる

ルパート(ブライブナーの甥):ハンセン病と騙し、自殺させる

シュナイダー(メトロポリタン美術館博士):破傷風に感染させる

 

破傷風の菌なんてどうやって手に入れたのかと思って調べてみた↓↓

破傷風の菌は土壌に常在している。

・傷口から体内に侵入、感染する。

らしい。どこにでもあるのか~。

そこからの採取の仕方は知らないけど、

まあ、出来るんだろう。

 

しかし、ああいう場所に行くときもスーツ。

テントでのティナーでも正装なのね。

砂まみれになるだろうに・・・。

どんな時でも紳士。

 

エイムズ医師のテントを探るポワロ、

テント前で見張るヘイスティングス

適当に会話して時間稼ぎしてるのが

もう居たたまれない。

その後、裏からしれっと出てくるポワロ。

ヘイスティングス可哀想。

 

ポワロの読書のお供はハタキ。

虫を追い払うのに活躍。

 

最後のミス・レモンに対する

粋な計らいがイイ。

名探偵ポワロ::負け犬

ミス・レモンは催眠術をポワロにかけようとするが、

そこにヘイスティングスが翌日の予定を聞きに来る。

ヘイスティングスが友人のチャールズに招かれ、

ポワロと共にゴルフ大会に参加。

もっとも、ポワロの興味はチャールズの叔父、

アストウェル卿の美術品。

だが、実際に会ってみるとかなり傲慢で、

持ってる美術品には一切興味がない。

翌朝、アストウェル卿が自室で死んでいるのが発見される。

前夜に容疑者ほぼ全員が被害者の部屋に出入りしており、

被害者との口論も聞かれている。

一体誰が殺したのかー。

 

 

 

✩✩✩✩

今回の被害者は傲慢で高圧的、

人が嫌がっているのも気にしない

本当に見てて不愉快な人で

いつ殺されてもおかしくない人だった。

(ワインは相当マズイらしい)

みんなが不満を持っていて、

本当はこうなることを望んでいたのでは?

今回の犯人は何となく哀れで同情してしまう。

まあ、他人の研究だけど。

 

「ナビゲーターはお任せ」とか言いつつ

たなびく地図に翻弄されるポワロが面白い。

ヘイスティングスがなかなか優秀だったな。

 

しかし、テーブルで見つけたナイフの破片は

結局なんだったのか、どうなったのか。

(ナイフって折れるんだろうか)

メイドの血を洗わず取っておいたのは?

そこに破れた服の一部を挟んだのは

その時点で何か分かっていたのだろうか。

さっぱり分からん。

 

ミス・レモンの催眠術、成功しちゃうのね。

しかもポワロも真相解明に使ってる。

(それもどうかと思うけど)

ラストでヘイスティングスにもかけて

ホールインワンさせちゃうし。

この時のミス・レモンの笑顔が美しかった。

名探偵ポワロ:黄色いアイリス

レストラン「白鳥の庭」がロンドンにオープンすることを

ヘイスティングスから聞き、

直後にミス・レモンがポストに入っていた

黄色いアイリスを手にやって来る。

それは2年前の未解決事件を思い出すものだった。

黄色いアイリスを「警告」ではなく、

「誰かが助けを求めている」と考え、再び捜査に乗り出す。

 

 

 

✩✩✩✩

冒頭は2年前の事件について2人に語るところから始まる。

事件現場となったのは、ブエノスアイレスにある

レストラン「白鳥の庭」。

ポワロはちょうどその場に居合わせたにもかかわらず

事件を解決できなかった。

それは、ポワロがスパイ容疑で逮捕されたから。

関わっていたのに結局何もできなかったのは

さぞかし無念だっただろうな~。

当時のメンバーの会食にポワロも参加し、

2年前の事件と今回の事件の真相を解き明かす。

 

皆が注意を払わない人に成りすましたら

犯行がやりやすい、というのは以前の事件でも出てきましたね。

しかし、イマイチはっきりとした証拠は無かったような・・・。

 

ポワロの朝食は均等に切り分けたトースト

(それか小さいクラッカーかな?)+ジャムに紅茶。

しかも皿にも均等に並べられてる。

あれじゃ絶対お腹空くわ~。

これに関してはヘイスティングスの言う通りだと思う。

 

ラスト、文句を言いつつもフィッシュ&チップスを

パクパク食べるポワロが可愛い。

(どうやら気に入ったようです・・・(笑))

名探偵ポワロ:スペイン櫃の秘密

あらすじ(AXNミステリーから引用)

ポワロはオペラ劇場で旧知のレディ・チャタートンに、友人のクレイトン夫人が夫に命を狙われているらしいと言われた。ポワロは様子を探りにクレイトン夫妻が出席するパーティに出掛ける。だが、クレイトン氏は急な仕事で欠席。翌日、彼は死体で発見される。

 

ダンスが苦手なポワロ、

真顔で踊っているのが面白い。

 

今回目を引いた小道具は、ポワロの使ってた携帯灰皿。

小さなハート型でビジューがついてて綺麗。

いつでもお洒落な人だ。

 

海外ドラマは小物もそうだけど、

建物も見てて楽しいんだよな~。

今回の体育館も美しかったです。

 

 

<以下ネタバレ含む>

ポワロも参加したパーティの裏で起こった事件。

冒頭の昔の決闘シーンから

伏線が張り巡らされてたんですね。

この事件の鍵も実は・・・。

 

しかし、あの殺害方法で大丈夫なのか?

かなり運が必要になると思うんだけど。

確実に殺せる保証なんてないし。

命が助かる可能性もあるわけで・・・。

犯人は中の状態が分からないまま

(被害者がどういう体勢でいるのか分からないまま)

1回で殺さなきゃいけないし。

よく成功したなと思う。むしろ凄い。

ただ、見てるだけで痛いことは分かった。

衝撃的な方法でした。

 

背景としてはよくある三角関係ですが、

トリックはなかなか面白かったです。

 

最初にポワロを紹介したレディ・チャタートン、

最後も出てくるものだと思ってたのに

全然出てこなくてちょっと残念。

結構好きだったのにな。